さいたま市の介護保険で使える住宅改修は、要介護度に関わらず、支給限度基準額が20万円です。市の「介護保険 住宅改修の手引き」(令和7年12月)には、「介護保険で支給される給付額は、利用限度額20万円までの工事に対して保険給付相当額と定められています」と書かれていて、20万円の範囲内であれば、数回に分けて使えます。工事は、区役所高齢介護課に事前申請をして、市から「工事前確認通知書」が届いてから着工します。市は「着工は、必ず『工事前確認通知書』を確認後に行ってください」としています(2026年10月時点)。
対象になる人
手引きの支給要件は、次の3つです。
- 要介護認定を受けている人で、着工予定日が要介護度の認定有効期間内であること
- 住宅改修の対象となる住宅の住所が、介護保険被保険者証に記載されている住所であること
- 介護保険の対象となる工事であること
要介護認定の申請の流れは、要介護認定の申請の記事にまとめています。
対象になる工事は6種類
- 手すりの取付け: 廊下、便所、浴室、玄関、玄関から道路までの通路等に、転倒予防や移動動作のために設置するもの
- 段差の解消: 敷居を低くする工事、スロープを設置する工事、浴室の床のかさ上げ等。動力で段差を解消する機器(昇降機、リフト、段差解消機等)を設置する工事は除きます
- 滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更: 居室の畳敷から板製床材やビニル系床材等への変更、浴室の床を滑りにくいものへの変更、通路面を滑りにくい舗装材への変更など
- 引き戸等への扉の取替え: 開き戸を引き戸、折戸、アコーディオンカーテン等に取り替える工事のほか、扉の撤去、ドアノブの変更、戸車の設置も含まれます。自動ドアにした場合、自動ドアの動力部分の費用相当額は、保険給付の対象になりません
- 洋式便器等への便器の取替え: 和式便器から洋式便器への取替え、既存の便器の位置や向きの変更など。暖房便座や洗浄機能付きの洋式便器への取替えも含まれますが、すでに洋式便器の場合にこれらの機能を付けることは含まれません
- 上記に付帯して必要となる住宅改修: 手すりのための壁の下地補強、浴室の床のかさ上げに伴う給排水設備工事、床材の変更のための下地の補修、扉の取替えに伴う壁または柱の改修工事など
次の工事は、介護保険の対象になりません。
- 新築や増改築に伴う改修
- 老朽化や物理的・化学的な摩耗、消耗が改修の理由となる工事
- 下駄箱やタンスなど、家具への改修工事
- 「棚」や「トイレットペーパーホルダー」など、介護保険の対象とならない機能が追加された福祉用具(手すりなど)を用いた改修(和式便器から暖房・ウォシュレット機能付便座への改修を除く)
- 和式便器から暖房機能やウォシュレット機能付便座に変更するときの電気工事、洋式便器に暖房機能やウォシュレット機能を追加する工事
- 浴槽の縁の高さを高くする工事、布製カーテンへの変更 など
支給限度基準額20万円の使い方
- 要介護状態区分に関わらず、支給限度基準額は20万円です。上限を超えた費用は、全額自己負担です
- 被保険者の負担割合(1割〜3割)は、介護保険負担割合証で、負担割合と適用期間を確認します。負担割合の適用は、領収日基準です。領収日時点の負担割合を確認し、その割合に応じた金額を領収します。領収証には、完了日以降の日付が記載されます
例外として、再度20万円の改修費用まで使えるケースが、手引きに書かれています。
- 要介護状態区分が3段階以上、上がった場合。例: 要介護1の認定を受けて初めて20万円の住宅改修をし、その後、要介護4の認定を受けた場合、再度20万円の住宅改修ができます
- 引越しをした場合。例: 引っ越し前のA宅で20万円の住宅改修をした後に、B宅に引っ越した場合、B宅で20万円の住宅改修ができます。ただし、A宅で15万円の住宅改修をした後に、引っ越して、B宅で20万円の住宅改修をし、再度A宅に戻ってきた場合は、前回の15万円の利用が実績としてあるため、A宅での住宅改修は5万円までが保険給付の対象です
申請の流れ(8ステップ)
- 相談と検討: ケアマネジャー(介護予防サービスを使っている場合は地域包括支援センターの職員)などと相談し、住宅改修の理由書を作成します
- 住宅改修事業者の選択と見積書の作成依頼
- 事前申請(工事前確認)の提出: 区役所高齢介護課に提出します
- 確認・審査: 承認後に、「工事前確認通知書」が市から被保険者宛に郵送されます。この通知は、下段が「終了報告書」を兼ねているので、紛失しないよう注意するよう書かれています
- 着工: 必ず工事前確認通知書を確認してから。事前審査の内容と工事内容が異なる場合は、保険給付の対象外になります。工事内容が変わる場合は、着工前にケアマネジャーと区役所高齢介護課に連絡します
- 住宅改修完了時の支払い
- 事後申請(終了報告書)の提出
- 住宅改修費の支給: 書類に不備がなく、工事が適切に行われたか等を確認したうえで、支給決定をします(原則、事後申請月の翌月)。支払いは、支給決定月の29日です。支払日が閉庁日の場合は、前日の開庁日が支払日になります
事前申請の必要書類は、次の6つです。
- 介護保険居宅介護(介護予防)住宅改修費支給申請書(マイナンバーを記載している場合は、被保険者本人のマイナンバーが確認できる書類。代理人の場合は委任状と代理人の身元確認書類)
- 住宅改修理由書
- 住宅改修見積書
- 平面図等
- 撮影日入りの住宅改修前の写真
- 居宅介護住宅改修費代理受領委任状(受領委任払いの場合)
事後申請の必要書類は、介護保険住宅改修終了報告書、領収証(原本)、完成後の写真(改修箇所ごとに改修部分が確認でき、写真内で撮影した日付がわかるもの)の3つです。
写真の撮り方で、手引きが注意していること
- 必ず撮影日を入れて撮影します。日付表示機能のないカメラで撮影する場合は、工事用黒板や紙に日付等を記入して、写真に写り込むように撮影します。写真を撮った後に、日付を付け足すなどデータを修正した写真は認められません
- 手すり取り付けの例: 改修前に、取り付け予定箇所をマジック等で記載します。改修後は、ブラケット等の部品が小さすぎたり、影に隠れたりしないよう、撮影角度を工夫し、複数枚撮影します
- 玄関の段差解消の例: 改修前に、段差部分をメジャー等で表します。改修後は、段差解消のために設置した踏み台が固定されているか、近づいて金具等を撮影します。住宅に固定されていないものは、住宅改修の対象ではなくなります
支払い方法は2つ(償還払いと受領委任払い)
- 償還払い: 被保険者が住宅改修事業者に費用の全額を払い、その後、市に保険給付の支給申請をします。市の受領委任払いのページには、介護保険の住宅改修費や福祉用具購入費は、利用者本人が事業者へ全額(10割)を支払い、その後、区役所に申請をして、保険給付分の支給を受ける方法(償還払い)を原則とすると書かれています。償還払いの場合は、事業者の指定はありません
- 受領委任払い: 被保険者が住宅改修事業者に自己負担額(1割〜3割分)だけを払い、保険給付相当額は、市が被保険者に代わって事業者に支払います。市は平成24年10月から、受領委任払いでの申請を受け付けています
受領委任払いを使えるのは、次の人です。
- 介護保険料の滞納等による給付制限を受けていない人
- 住宅改修費の受領委任払いについて、住宅改修費代理受領取扱事業者の同意が得られている人
受領委任払いを希望する場合は、市が登録した「代理受領取扱事業者一覧」の中から事業者を選ぶ必要があります。登録の条件は、住宅改修施工業者の場合、さいたま市が主催する受領委任払いに関する説明会を受講し、届出書及び誓約書を届出期間内に提出して受理されたことです。福祉用具販売事業者の場合は、指定福祉用具販売事業者のうち、福祉用具購入費の代理受領取扱事業者の届出書及び誓約書を届出期間内に提出して受理された事業者です。支払方法は被保険者ごとに変わるので、契約時等に確認するよう書かれています。
理由書と見積書の注意
- 理由書の作成者: 担当のケアマネジャー(介護予防サービスを使っている場合は地域包括支援センターの職員)。介護(介護予防)サービスを使っていない人は、ケアマネジャーや地域包括支援センターの職員、理学療法士、作業療法士、福祉住環境コーディネーター検定試験2級以上の有資格者が作成できます
- 見積書: 被保険者名、住所、日付、担当者、事業所所在地、事業所名称をもれなく記載します。「介護保険の給付対象となる住宅改修工事」のみの金額を記載し、給付対象外の工事も一緒に行う場合は、対象部分と対象外部分の見積りが分かるように記載します。厚生労働省が示した見積書の標準様式の項目を必ず含めます
申請書・平面図・領収証の注意(手引きから)
- 申請書の申請者: 申請者欄に書く申請者は、被保険者または委任状の代理人です。窓口に申請に来る人が申請者になるので、代理人が申請者の場合は、代理人の身元確認ができる証明書(官公署が発行した写真つきの書類なら1点、官公署が発行した書類なら2点以上)を持って行きます。申請者欄には、事業所名・事業所番号・代理人の氏名を記入します
- 平面図等: 日常生活上の動線や住宅の状況がわかるように、日常生活の障害となっている住宅の箇所を、簡単な見取り図で記入します。参考様式として「介護保険住宅改修箇所計画図」がありますが、同様の内容を説明できる他の平面図等の添付で替えることもできます
- 工事内容の変更: やむを得ず工事内容を変更する必要がある場合は、必ず工事着工前に、区役所高齢介護課に相談します
- 領収証: 工事前確認通知書に、住宅改修工事の「支給対象費用額」が記載されるので、確認します。その「支給対象費用額」に対して、被保険者の負担割合に応じた金額の領収証を発行してもらいます。介護保険適用外分がある場合は、領収証を2枚に分けて、負担割合分の領収証と介護保険適用外分の領収証を発行してもらうか、1枚の領収証にして、介護保険適用分と適用外分の内訳を必ず記載してもらいます
- 端数: 金額に小数点以下の端数が生じる場合は、保険給付額(7割〜9割分)を算出し、小数点以下の端数を切り捨てます。そして、支給対象額から保険給付額を除いた額が、自己負担額・領収額です
問い合わせ先
- 各区役所 高齢介護課(直通): 西区 048-620-2668/北区 048-669-6068/大宮区 048-646-3068/見沼区 048-681-6068/中央区 048-840-6068/桜区 048-856-6178/浦和区 048-829-6153/南区 048-844-7178/緑区 048-712-1178/岩槻区 048-790-0169
介護保険料は、介護保険料の記事に、利用料の負担を軽くする制度は、高額介護サービス費などの記事にまとめています。
出典
- さいたま市「さいたま市介護保険 住宅改修の手引き」(令和7年12月。PDF)
- さいたま市「介護保険住宅改修及び福祉用具購入の受領委任払い制度について」(2025年10月1日更新)
- さいたま市「保険料の決め方と納め方」(各区役所高齢介護課の電話番号の出典)
アイキャッチの写真: AIで作成したイメージ(実在の場所・施設ではありません)
